記憶の階層:タルビングによる記憶システム相関
先日の公開投稿記事、「記憶の分類:スクワイアの記憶分類」において、5 つの記憶の種類があることを学びました。その 5 つとは、以下の通りでした。
- 短期記憶:30 秒~数分以内に消える
- エピソード記憶:長期記憶で個人の思い出
- 意味記憶:長期記憶で知識
- 手続き記憶:長期記憶で体でおぼえるものごとの手順
- プライミング記憶:長期記憶で勘違いのもと?
出典:池谷裕二著「記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方」(ブルーバックス:2001年1月) p.68-69
さて、上記の 5 つの記憶に関して、お互いに階層を作っていると説明されていて、記憶を知る上で非常に重要な概念だそうです。その階層とは、上記の新書中に以下の通りとしています。
- 手続き記憶(潜在記憶)
- プライミング記憶(潜在記憶)
- 意味記憶(潜在記憶)
- 短期記憶(顕在記憶)
- エピソード記憶(顕在記憶)
(同新書:p.72)
上記リストで、項目 1 から順に 5 に従って、記憶は原始的な、即ち生命の維持にとってより重要な記憶であって、エピソード記憶が最も高度な内容を持った記憶ということです。
上記のような記憶の階層の概念は、「記憶のシステム相関」という考え方で、タルビングというカナダの心理学者が提唱した、ということで、心理学と脳科学が非常に近い!?ことを意味しているような気がしますが。
さて、この記憶の階層ですが、次のようなことが解っているそうです。
子供から大人の成長過程で、最も早く発達するのが「手続き記憶」で順に「プライミング記憶」、「意味記憶」、「短期記憶」、そして最も発達が遅いのが「エピソード記憶」。即ち、年齢と共に記憶の種類が変化していくのだそうです。3歳~4歳位までは、「手続き記憶」が特に発達し、10歳位までは「意味記憶」が発達するそうです。それ以降は、即ち短期記憶やエピソード記憶が発達するということになるわけです。
こうして、「記憶」を階層化すると、年齢と共に勉強の仕方に変化を与えないと記憶に残らないということになりますよね。