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「2007年10月10日」のアーカイブ

スポーツに関わる体力を構成する 4 つの要素

スポーツは「良い子」を育てるか (生活人新書)以前、本ブログにおいて、衝撃的な新書、永井洋一著「スポーツは「良い子」を育てるか」 (生活人新書:2004年6月)を、投稿記事「スポーツは「良い子」を育てるか!?」というタイトルで公開、そしてご紹介しました。

新書の内容を詳細に記述することは避けますが、少年、少女スポーツに関わる監督やコーチ、更には親達といった大人達が、その現実を認識して、もっと健全な活動にすべきであるといった内容になっています。少年、少女スポーツにおいてその主役である子供達(小学生、中学生を指しています)が、なぜスポーツをやるのか。それは、「楽しいから」、「好きだから」、そして「上手くなる」といった単純な 3 つの動機があって、それを重視できる環境を提供すべきである、としています。

しかし、現状はというと・・・以下のように記述しています。

多くの大人は、子供のスポーツを「できるか、できないか」という視点、あるいは他の子供に比べて「勝っているか、劣っているか」という視点で見ることに終始してしまいます。スポーツの表面的な出来栄えだけに注目してしまうのです。そうした視点のもとでは、スポーツから恩恵を受けるのは、生来の資質に恵まれた、いわゆる運動神経のいい子供だけになってしまいます。(p.42)

本来、スポーツをやるために必要な「体力」を構成する 4 つの要素というものがあって、子供の成長過程と共に、そうした体力を構成する 4 つの要素を適切に強化していく必要があると主張しています。単純に「勝った負けた」とか「勝っている劣っている」といった評価は、可能性のある子供を潰してしまう。

さて、興味があるのは、「子供の成長過程と共に、体力を構成する 4 つの要素」とは何か。そして、どういった強化をするのか、ということでしょう。本書は、これらに関しても触れています。

体力を構成する 4 つの要素とは;

  • 力強さ:「生まれつき」に大きく左右される筋力
  • 粘り強さ:努力で伸びる可能性がある全身持久力
  • 巧みさ:少年時代に最も重要な調整力(即ちテクニック)
  • しなやかさ:多彩な動きを支える柔軟性

本来、少年、少女のスポーツにおいては、上記の要素の内、特に「巧みさ」を強化するような工夫が必要で、その他の要素に関しては、少年、少女の時代でなくても強化することが出来る。ところが、前述したように、「勝ち負け」を重要視すれば、「巧みさ」よりも「力強さ」や「粘り強さ」の方が断然重要で、そちらに注力が注がれてしまう。そして、やがて子供の成長が止まって、肝心の場面(重要な試合や大会)に遭遇した時に勝てなくなってしまう。

スポーツの種目によって、上記の要素の内、強化すべき要素が異なっているようですが、「巧みさ」だけは全ての競技において必要で、小学生、中学生の間に強化しておかないと、それこそ強化するタイミングがなくなる、と指摘しています。

私は、これまで個人的な経験から、小学校、中学校時代にとにかく徹底してテクニックを教え込まれた経験があって、その後、高校、大学と技術的には一流選手だったような思い込みがあったのですが、そうして本書を読むと漠然と上記のような「巧みさ」を強化していたんですね!

脳科学の世界でも、10 ~ 13、14歳前後までは、徹底して新しい記憶、つまり技を磨くように主張されていますので、まんざら嘘でも無いようです。