ブルーバックスへの偏見が無くなった!
大昔、私が高校生の頃、今よりもなお偏差値重視の大学受験が主流でした。私も、しっかりそうした時流に流されていて、数学と物理が得意だったという理由だけで、理工系の学部を目指して受験勉強に励んでいました。
高校は、大学現役合格を目指して理工系と文系のクラスに別れ受験勉強一色!当然、私は理工系クラス。工学部、理学部、医学部、薬学部等を目指す受験生ばかり。休み時間には物理の問題集をとく連中や数学の難問の話題とちょっと特殊な雰囲気でした。
そんな受験一色のクラスにちょっと変わった一人の医学部志望の「目立たない男」がいました。まったく受験勉強をしている雰囲気が無い!ただただ単行本を読んでいる・・・ちょっと興味があって、「あのさ、何を読んでいるの!?」と質問してみると、とても嬉しそうに「アインシュタイン」と即答でした。
その質問以来、とにかくその彼が私に興味が出てしまったのか、とにかく近付いてきて、「今日はね、量子物理学」、「今日はね、マックスウェル」・・・とにかく読んでいる単行本の紹介をしてくる!当時は、何を言っているのかまったく解らず、「ちょっと気持ち悪いやつだな~」と感じていて、何とか彼から遠ざかりたいとしか考えていませんでした。
そんな彼が、愛読していたのが「ブルーバックス」という新書のシリーズ。ちょっと彼に感化されて、何冊かを購入して読んでみては、その内容の難しさと横書き(当時は横書きばっかりだった!)だったスタイルで途中で挫折。一度も読破できたことがありませんでした。
そうした毎日を繰り返している内に、「ブルーバックスは、変人が好んで読むもの」という偏見が出来上がっていました。それが何 10 年も続きました・・・
やっと最近になって、脳科学や心理学、認知科学などに興味があって、何度かブルーバックスを手に取るようになったのですが、どれをとってもなんとも面白い!縦書きの、所謂普通の新書になってきたし・・・理系の私には、ブルーバックスの科学的アプローチは理論的で何やら別世界に連れて行ってくれるような快感を感じるようになってきました。
「何でもっと早くに気が付かなかったのかな~」
あの彼は、その後見事有名国立大学の医学部に合格。今は、ある地方病院の医院長。2 男 2 女の子供に恵まれ、「サッカー狂」といわれる名物医者になっているようです。