羽生善治氏曰く、「テニスと将棋はとっても似ている!」
書店で何気に手に取った新書、羽生善治著「決断力」(角川oneテーマ21:2005年7月)を立ち読みしていると、目に入ってきたのが、テニスという文字。「決断力」というタイトルの新書にしては、テニスというのは面白い!
私は、将棋に関してはまったく素人で、ルールくらいは知っていますし、著者である羽生善治氏が将棋の世界では、何やら凄いヒト、という程度は知っていたのですが、その他詳細は知りませんでした。ただただ新書の中に「テニス」という文字があったから、「将棋のプロが何でテニス!?」という興味のみで購入。
この新書、「いったいどこに決断力に関しての記述があるのかな~」と疑問に思うほど、決断力に関する記述がありません。タイトルから決断力に関する記述を期待しての購入であれば、後悔する書籍かもしれません。ただ、タイトルは別として、内容は本当に面白かった。すらすらと読み進めることができました。
集中力を高めるとか、流れを変えるとか、あるいはその場にどうなじむかというのは、将棋と全部(サッカーとかテニス、バスケット、ラグビー、F1 といったスポーツ)共通している。だから観ていて非常に面白い。特に似ているのはテニスだろう。テニスはトータルなゲームなので、ポイントで勝っても試合に負けることがある。サービスゲームを交互にやったり、一人で流れを変える努力をするところは、すごく似ているし、役に立つ。それに実力差がないときに、どうやって差をつけるかも似ている。(p.160 - 161)
いわれてみれば、なるほどと解りますが、将棋のプロがそうした見方をしているというのが新鮮でした。本書では、随所にテニスに関する記述が出てきます。例えば、こんな記述があります。
テニスにも、昔は「相手よりも一球多く打て」といわれたそうだ。自分から決めにいくとコーチから怒られる。相手がミスをするまで辛抱強くラリーを続ける。何十球、何百球と打ち合ってやっと一ポイントが決まったということもあったそうだ。将棋にも、かつては「勝つ手より負けない手」という言い方があった。(p.23)
「負けてはいけない」と安全に見える筋に気持ちがいってしまうと集中力に欠き、シンプルに勝つ手順をためらうようになるのでこうした「負けない手」を検討していてはいけない、と主張されているのは興味深いですね。更に痛烈な一言が。
守ろう、守ろうとすると後ろ向きになる。守りたければ攻めなければいけない。(p.44)
こうなると将棋の世界でもスポーツの世界でもコンセプト(考え方)は良く似ていることに気付かされます。
関連投稿記事
上記の投稿記事で引用している羽生善治著「決断力」(角川oneテーマ21:2005年7月)に関して、以下の投稿記事も参照して頂ければ幸いです。