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カテゴリー:「実験心理学」に関するアーカイブ

条件反射や認知のメカニズムなどに代表されるように、ある条件下での人の心がどのように働くかを考える実験心理学に関する投稿記事

スランプからの脱出法

スポーツに限らず、ビジネスの世界でも「スランプ」はつきものですよね。「スランプ」とは、「以前できていたことが一時的に調子が落ちて、できななくなっている状態」とでも定義できるのでしょうか。

ただ、「スランプ」は、短期的なものばかりではなく、長期的なものもありますのから、時間軸で定義するにはちょっと無理があるとは思いますが。

ウェブページ、「大和部屋(やまとべや)::スポーツ選手のスランプ脱出法」によれば、以下のように記述されています。

スランプで悩んでいる選手は自分を知らない。スランプとは自分の心が起しているのである。それに気付かないからスランプを脱する事ができないのである。決して練習不足や能力の限界からスランプが起っているのではない。スランプに突入してしまった選手は、能力の限界なのだろうかと悩み不安になる。そしてやたらと練習をする。練習をしすぎて(特に試合前に)、体が疲れたままレース(個人的注釈:レースとは試合やビジネスでの本番)に出てしまう。「調子の良かったころはこうだった」と過去にとらわれ、その過去以上の練習さえつめば勝てると錯覚してしまう。練習やフォームなどは 2 次的なものでしかない。

「スランプ」に陥ると、上述のように、「以前できていたこと」にとらわれて、これまで以上に「何か」を実践しようと頑張ってしまう!良くあることですよね。更に以下のようにも記述されています。

強化練習中に調子が悪い分けではないのに、試合で結果が出せないというのがスランプである。レースで結果が出ない。すると練習量を増やす。本来十分な練習量以上の練習をする。疲れが異常なほどたまる。しかし、その疲れを調子が悪いと感じてしまう。調子が悪いので不安になりさらに練習してしまう。そして試合の直前まで練習中ある程度のタイムが出るまで練習してしまう。疲れがたまったままレースに挑む。こういう悪循環がスランプを産むのである。

さて、上記のような「スランプ」から脱出する方法があれば良いですよね!上記のウェブページは以下のように示されています。

試合前 1 週間には最低 1 日、完全休養日を入れなければならない。ダッシュ練習もあまりやってはいけない。試合前ダッシュは練習量が落ちていてつい全開でやってしまう。疲れも残るし、レース前に気持ちが爆発してしまい、試合まで気持ちが持たない。試合前にはどんなことをやってももう無駄だと開き直る大きな器が必要である。(中略)勇気を出して休もう。

また、長いスランプ期には一時引退するのも手である。長い選手生活で、練習が嫌々になっていては勝てない。ちなみに私は今、きつい練習も楽しい。現役時代には練習が、きついことが楽しいなんて想像出来なかった。苦しいけど楽しい。この境地に達するのはいったん引退するのが一番の近道である。

実践に基づく「スランプ脱出法」は説得力がありますね。ほとんどの記述は、どうやら水泳の経験から来ているものらしいのですが、他のスポーツやビジネスでもまったく同じことが言えますよね。

更にもう一つ。早稲田大学人間科学部の野村忍教授が、「ストップカード」というものを提唱しています。

名刺やテレ力あるいはパスネットカードにマジックで大きく「STOP!」と書いてポケットに入れておきます。そして、何か悩み事があったり、暗くなったり、考えが堂々めぐりを始めたら、「ストップカード」を取り出して3秒間じっと見つめて下さい。人前でなければ、「ストップ!」と声に出して下さい。そうすると、うそのように新鮮な気分になって、よい考えが浮んできます。

ちょっと信じがたいような方法ですが、このストップ法(思考中断法)は、もともと強迫神経症の治療として考案されたものでだそうで、どうやら科学的に立証されているようです。

上記で言う、「強迫」とは、自分でも不合理だという考えが次から次へと浮かんできて、それを自分でコントロールできないという症状のことだそうです。そんな時に、「ストップ」と叫んでみるとその一瞬にして不合理な考えから抜け出られるというものだそうで、ちょっと試してみようかな・・・

マンガ心理学入門

マンガ心理学入門―現代心理学の全体像が見える (ブルーバックス)ちょっと時間があって、ふらっと立ち寄った書店で何気に本棚を眺めていると、昔懐かしい!?講談社のブルーバックスシリーズの棚が目に入りました。

文系の方々にはなじみが薄いかもしれませんが、ブルーバックスは昔、理系に方々には本当に有名な新書シリーズでした。「科学をあなたのポケットに」が謳い文句ですから。

そんなシリーズの本棚の片隅に何んと心理学入門の文字が・・・それは、ナイジェル・C. ベンソン::Nigel C. Benson著、 清水佳苗、大前泰彦訳「マンガ心理学入門―現代心理学の全体像が見える」(講談社ブルーバックス:2001年3月)でした。著者は、どうやらイギリスの方らしいので、内容がそのまま日本で当てはまると思いませんでしたが、「マンガ」という言葉と(マンガとタイトルしていますが、実際にはイラストを多用しているだけですが・・・)、なんとも解りやすい文章にちょっと感動しながら、早速購入して読破。とても良く書かれた新書、といった感動を覚えました。(横書きの構成はちょっと読みずらいかもしれませんが・・・)

まずは、心理学に関する定義。

心理学はもともと心を研究する学問だった。(中略)心理学とは、人間および動物の心と行動を科学的に研究する学問である。(p.11 - 13)

なんとも明快な定義ですよね。そして、私が拘っていた心理学に関する領域も「大学の学部における主な研究区分」として下記の 8 区分を定義しています(p.15)。

  • 発達心理学
  • 社会心理学
  • 比較心理学
  • 個人差心理学
  • 認知心理学
  • 生物心理学
  • 健康心理学
  • 組織心理学

上記のような区分が正しいかどうかを議論すべきではありませんよね。興味を持って理解していればいいと思います。

この書籍、更に心理学の研究方法として 5 つ方法をリストしています。このリストは、私にとっては「なるほどな~」と感心させられました。

  1. 実験
  2. 観察
  3. 調査
  4. 事例研究
  5. 相関関係

どうも 5 番目の相関関係というは違和感がありますが、本書でも「測定手法」と解釈する、としています。いっそのこと、統計的分析とでもしたほうが良さそうです。

そして、本書の後半に、「現在の傾向」として以下のような記述があることは、とっても興味深いですね!

特に注目されている分野として、認知心理学と健康心理学の 2 つがある。(p.176)

上記における認知心理学は、認知科学という言葉と同様に扱っているようですし、健康心理学の一つとして、スポーツ心理学をあげていることも私にはとっても新鮮でした。

この新書、心理学にちょっとでも興味がある方にはお勧めですね!

脳科学をベースに常勝教育

最近のマイブームは、なんといっても「脳科学」!まだまだ勉強不足、というより脳科学の初歩中の初歩をかじっただけですが。

それでも、林成之著「勝負脳の鍛え方」 (講談社現代新書:2006年10月)築山節著「脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める」(生活人新書:2006年11月)といった新書に出会って、なんともトンネルの中から一気に外へでたような明るさが見えてきました。

カリスマ体育教師の常勝教育実は以前、原田隆史著「カリスマ体育教師の常勝教育」(日経BP社:2003年10月)という書籍を読みました。次女が参加するジュニアテニスで、周囲からは「素晴らしいテニスをする」と評価されながらもどうしても結果がでない!そうした状況で、藁をも掴む思いで購入した本でした。

著者の原田氏は、元公立中学校の教師の先生で、「普通の子供を日本一に育てる」ための Know-How が書かれています。長期目標をたてること、その具体的な行動計画をたてること、自分で書かせて自覚させること、家庭での教育(しつけ)が重要なこと、簡単なことでいいから何かをやり遂げる子供にすること等、ちょっと親として耳の痛い話を含めて、いろいろと詳細が書かれています。

この本を読んだときには、「なるほどね~でも全ての子供に当てはめるのは無理があるんじゃないの?内容に根拠が無いし・・・」とちょっと批判的でした。

ところが、前述の 2 冊の「脳科学」に関する新書を読んでから、「常勝教育」をおさらいすると、一語一句が強烈に「正しい方法」として説得力を持ってきました。全ての内容が、「脳科学」としての根拠があることが解ります。

原田氏は、「心理学の本を読みあさった」と言っていますが、「脳科学」を勉強してからであれば、もっと詳細に「常勝教育」の良さやその根拠を明確に出来たのではないかと感じるのですが。

日本のプロゴルファーは、試合が終わると何が悪かったを反省し、その修正を試合後実施して次の日に挑みますが、タイガー・ウッズは、その日一番良かったショットを何度か試してその日の練習を終わります。

といった「常勝教育」で説明している日本人の問題点も「脳科学」として、「人間は怒られてばかりいると脳が自分を守るように働き、批判を受け付けなくなる」というとより納得できるようになります。

神秘的な!?それともオカルトな!?トランスパーソナル心理学

トランスパーソナル心理学入門―人生のメッセージを聴く (講談社現代新書)以前に「メンタル・コーチング:トランスパーソナル心理学」と題した投稿記事を公開しました。スポーツの試合では、流れがあって、これが「個人の意図や努力を超えて働く人生の流れ」によって、状況が変化するということが解説されていたと認識しています。

その流れを、トランスパーソナル心理学では、パワー・オブ・フローと呼び、一つの大きな概念だそうです。確かに、試合では流れがあって、ある種理解できないような勢いによって勝敗が決することがしばしばあることを実感していたので、もうちょっと「トランスパーソナル心理学」を知りたくて、諸富祥彦著「トランスパーソナル心理学入門―人生のメッセージを聴く」(講談社現代新書:1999年08月)を読んでみたのですが・・・

新書のプロローグでは、以下のくだりで始まります。

トランスパーソナル心理学とは、「心理学第四の潮流」と呼ばれている最も新しい心理学。心と体のみならず、魂やスピリット(精神)の次元まで含んだ、真の意味での全人間存在を扱うはじめての心理学。

魂やスピリット・・・ちょっと神秘的でもあり、ある種オカルト的な心理学だな、と感じながらも読み進めていったのですが、結局のところ、トランスパーソナル心理学が出現する元となる人間性心理学を知らずして読み進めるのは難しいことに気が付きました。

ある程度の心の健康は保っているふつうの人が、さらなる「心の成長」を目指して自己探求・自己成長をなしとげていくための心理学というのもあります。その代表が、トランスパーソナル心理学の母体となった人間性心理学です。(p.43)

人間性心理学には、欲求の階層論を説いたアブラハム・マズローは、ビジネスの世界でも有名で、私も勉強した記憶がありますから、もうちょっと人間性心理学を勉強しないとトランスパーソナル心理学を理解することは難しいのかもしれませんね。

もうちょっと人間性心理学の著名人をリストしておくと・・・フォーカシングの創始者であるユージング・ジェントリン、ゲシュタルト療法というのを始めたフリッツ・パールズなどが含まれると解説していますので、こうした古典を読破してからトランスパーソナル心理学へ発展させるのが良いのかもしれません。

メンタルトレーニングとは!?

心理学、特にその中のスポーツ心理学の一つと言われているメンタルトレーニング!私は、ゴルフをやるし、我が子はテニスをやるし、メンタルトレーニングと無縁ではありません。「メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会」というサイトに、メンタルトレーニングが以下のように定義されています。

「心・技・体」の「心」の部分を科学的にトレーニングをすることで毎日の練習で培った技術や体力を最高度に発揮し、徹底的に勝つ可能性を高めようとする方法のこと

更には、メンタルトレーニング実践のための基礎知識、心理的スキルとして下記が列記されています。

  1. 目標設定
  2. リラクゼーション(リラックス)
  3. サイキングアップ(心理的ウォーミングアップ)
  4. イメージ(ビジュアライゼーション、シュミレーショントレーニング)
  5. 集中力(コンセトレーション)
  6. ポジティブ・シンキング(プラス思考、物事をプラスの方向に変えるテクニック)
  7. セルフトーク (自己会話)
  8. セルフコンディショニング(自己管理、調整法)
  9. 試合のための心理的準備
  10. サイキアウト(相手の考えを読んで、自分が心理的に優位に立てるようにする)

メンタルトレーニングを上記のように明確に定義している。日本におけるメンタルトレーニングの第一人者は、どうやら東海大学の高妻容一(こうづまよういち)教授のようです。上記で参照サイトとしての「メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会」にも大きく貢献しているようです。

上記に関しては、その内容や詳細に関して、とても興味がありますが、先日ご紹介した「勝負脳の鍛え方」と比較しながら、より納得のいく理解を深めたいと考えています。

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