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カテゴリー:「実験心理学」に関するアーカイブ

条件反射や認知のメカニズムなどに代表されるように、ある条件下での人の心がどのように働くかを考える実験心理学に関する投稿記事

強くなるために相手を絶賛すること!ミラーの法則

最近読んだ新書に、辻秀一著「弱さを強さに変えるセルフコーチング」(講談社+α新書:2003年6月)があります。著者である辻氏は、バスケットボールをこよなく愛するスポーツ医学の専門家です。スポーツ心理学とスポーツ医学の融合ということを実践されている方のようです。

先日ご紹介した投稿記事「大賛成!オカルトともいえるスポーツ心理学」で公開しましたが、どうもスポーツ心理学という世界は、ちょっと疑わしいとしか言いようがありませんが、辻氏は医学部の出身で、スポーツ医学が専門ですから、オカルトとは相当違っていると信じていますが・・・

どうして、ビジネスの世界を引き合いにするのでしょう!?著者と子供達の質疑応答の形式で、あらゆる角度から子供達の質問に回答しているのですが、ちょろっと出現するビジネスに関する事例が何んとも不思議な感じのする内容でした。

さてさて、そうした不思議な感覚の中にもとっても気になる内容が!

スポーツ心理学に「ミラーの法則」というものがあります。人に対して抱いた感情や態度は、そのまま自分にはね返ってくる、という法則 (p.46)

本書には、上記に関して詳細な説明がありますので、知りたい方は新書を読んで頂きたいのですが、要するに、「相手を誉めれば、いずれ自分にはね返ってくる」ということです。事例として、イチローや松井選手等をあげて、「彼らは、必ず敵であっても素晴らしいプレーには喝采を送る」としていて、それが一流選手の証、と例えているわけです。

上記のような「ミラーの法則」に従えば、「強い選手になるためには、まずは強い選手にエールを贈ること!」といえるかもしれません。こうして記述されると思い当たることが多々あります。敗戦を相手に悪さがあったように語っている選手は確かに頂点には立てない!しかし、相手選手を絶賛している選手は、いずれ強くなってくる。

次女が夢中になっているテニス。ジュニアテニスという世界は、とっても珍しく!?ほとんどの大会や試合は、セルフジャッジ。即ち、自分でアウトとかインとかをジャッジしながら試合が進行します。そうした試合展開で、きちっとスポーツマン・ウーマンシップにのっとったジャッジができる選手は強いし、試合後、相手のプレーを絶賛できる選手が強い!これは、紛れも無く事実ですから、「ミラーの法則」というのは、間違いなく存在しているに違いありません。

簡単そうで、実際には本当に難しいかもしれない「相手を誉めること」を如何に実践していくか。これが強くなるための最短距離なのかもしれませんね!

「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」

先日公開した「モチベーションの意味」でも触れている市川伸一氏ですが、その著書、市川伸一著「学ぶ意欲の心理学」(PHP新書:2001年09月)において、心理学の根幹ともいえるであろう基礎心理学を以下のように紹介しています。

基礎心理学というのは、主に実験的な方法で、人間や動物の感覚、知覚、記憶、学習、思考などの特性を明らかにし、そのしくみを理論化していく分野(p.24)

学ぶ意欲の心理学基礎心理学が、本ブログでいう実験心理学とどのように関係しているかは、明確な解答がありませんが、上記の定義からすると、基礎心理学も実験心理学と考えることが出来そうですね!

さて、基礎心理学の世界では、伝統的に非常に大切な「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」という 2 つの考え方があるとしています。

外発的動機づけは、学習するためには、何か物質的な賞罰とか、賞賛・叱責が不可欠だという考え方で、内発的動機づけは、外から与えられる報酬のための手段としてではなく、ある活動をすること自体を自己目的的に求める欲求をいうのだそうです。

この 2 つの考え方は、基礎心理学では、必ず出てくる考え方だそうで、記憶しておく必要がありそうですね。

モチベーションの意味

学ぶ意欲の心理学心理学の世界では「やる気」とか「意欲」のことによく「動機づけ」という言葉を用いるそうです。「動機づけ」というと何やらとっても難しそうな気がしますが、英語では・・・「モチベーション::Motivation」のことなんですよね!

この「動機づけ」に関して知ったのは、市川伸一著「学ぶ意欲の心理学」(PHP新書:2001年09月)という新書を読んだ時で、とにかく解り易く記述されていますから、一読されることをお勧めします。特に、著者である市川氏は、軟式テニスから硬式テニスへ転向したものの、いまだにテニスを通して心理学を実践しているので、特にスポーツ心理学なんていう専門的な内容を勉強しなくとも、とっても参考になります。

さて、「動機づけ」ですが、著書には、2 つの意味合いがあるとしています。

一つは、他の人を動機づけるという時です。「誰かがこんなふうな気持ちになるように仕向ける」という意味です。もう一つは、人間はいろいろな動機をもちますけれども、その個々の動機の基礎には、ある基本的な欲求のようなものがあります。その基本的な欲求のことを指して「動機づけ」と言うわけです。「彼はこんな動機づけが強い(高い)」という言い方する時には、その動機づけというのは彼の心に中にある欲求のことなんですね。(p.16)

「動機づけ」、即ちモチベーションに関しては、とにかく心理学の世界ではいろいろと研究されているようで、どうやってモチベーションを高めるのか、どうやって高いモチベーションを維持するのか、更には第 3 者のモチベーションを高めるか。スポーツ選手に関わらず、ビジネスの世界でもモチベーションに関しては大きな課題ですから、今後も大いに研究したい項目です。

「動機づけ」に関しては、経営心理学とか組織心理学とかいわれている心理学の世界で発展してきたそうなので、特にコンサルタントの私にとっては、無視できない分野であることには間違い無さそうです。

心理学にあるコーチの役割

心理学に興味を持って、いろいろと書籍を読みあさっていますが、まったく新しい分野なので新しい発見があってとても面白い。先日の「大賛成!オカルトともいえるスポーツ心理学」という投稿記事でご紹介した織田淳太郎著 「コーチ論」(光文社新書:2002年12月)は、心理学とはまったく違うのですが、心理学に関する記述がありましたし。

心理学では、既に古典になってしまっているのかもしれませんが、稲垣佳世子・波多野誼余夫著 「人はいかに学ぶか―日常的認知の世界」(中公新書:1989年01月)は、名著だと私は感じました!

「学ぶこと」は、受験勉強のように机に座ってコツコツと問題を解くことを想像しがちですが、人間は、常に「学んでいる」としていて、その領域は、スポーツや日常生活の中でも「学んでいる」ことを主張しています。そして、本書の中では、コーチに関しての記述があるんです。

獲得すべき知識をすでにもっている他者は、「コーチ」として学び手を導くことができる。より具体的には、(1) まずやり方の手本を示す、(2) 学び手がそれをまねて活動する際に、不都合な点や困難があれば、そこで簡単なヒントや助言を与える、(3) 彼が成長するにつれて、こうした助言やヒントを次第に少なくしていく、ということができるのである。(p.119)

ちょっと難しい表現になっていますが、とっても明確な「コーチ」に関する定義だと思います。更に上記に加え、とても興味深い記述が続きます。

学習環境としての他者の強みはこればかりではない。学び手本人に比べ、他者がより進んだ知識を持っていない場合でさえ、彼らは学び手の学習を促進することができる。(p.120)

いわゆる「コーチ」は、学び手と視点を変えて問題を見た時に、問題に対する制約条件や無視されがちな制約条件を学び手に気が付かせることができるとしています。つまり、学び手が抱えている問題を視点を変えてみることによって、学び手の学習を促進できるとしているんです。

市場にあるスポーツ関係の書籍よりもこうした心理学の専門書の方が、「コーチ」に関して端的に、そしてその役割を明確に論じていると感じるのは私だけでしょうか!?

大賛成!オカルトともいえるスポーツ心理学

コーチ論心・技・体という言葉は、全てのスポーツに共通に説明される言葉ですよね。最近では、技・体よりも「心」が重要で、「心」を鍛える必要がある、と説いている専門家もいらっしゃる。しかし、どうしてスポーツで成功された方は、ビジネスの世界に入り込んでくるのでしょうね~スポーツの監督やコーチで成功した方があまりにも無造作にビジネスを語るのにはちょっと疑問があるのですが。

それはそうとして、最近、織田淳太郎著 「コーチ論」(光文社新書:2002年12月)を読みました。内容は、読者レビューにも記されている以下の評価に私もまったく同感です。

本書では主にこれまでの日本のスポーツにおけるコーチング技術の問題点が論じられ、そしてそれを改革しようとする新しい世代のコーチ達の努力が紹介されている。そういった意味で本書はスポーツ指導に携わる人向けの本である。

ただ、私は本書にある以下の一節には、なるほど、「やっぱり!」といった感動がありました!

体育学部の出身者がスポーツ心理学の分野に入り込んできて、心理学者や精神科医、カウンセラーなどの専門家が退いていった。(中略)で、そういう体育学部出身者がメンタルトレーニングに関する本を書いたり、心理学を使って能力の開発に手を染めるようになった結果、日本のメンタルトレーニングそのものが、非常にオカルト的になってしまったわけです。(p.151 - 152)

これまで何冊かスポーツ心理学やメンタルトレーニングに関する書籍を読みましたが、どうも論理展開が曖昧だったり、何を根拠に主張しているのかが不明であったり、ととにかく疑問点が多過ぎて・・・著者の経歴上は、上記のように某大学の体育学部出身の教授や体育教師というのが多いのが現状でした。

メンタルトレーニングという存在を理解した上で、心理学の専門家や精神科医の専門知識を注入する必要がありそうです。実際には、心理学や精神科医の書籍の方が大いに学べる部分が多いことに気が付いていたのでちょっと安心しましたが・・・

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