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カテゴリー:「スポーツ心理学」に関するアーカイブ

実験心理学のうち、特にスポーツに関する心理学を総括する。

メンタルトレーニングにおける「メンタル」の意味

「強い心」を作る技術 (講談社+α新書 377-1C)ちょっと個人的な事情で、再度「スポーツ心理学」関係の書籍を手に取りました。以前から気になっていたメンタルトレーニングの専門家である岡本正善氏の書籍。

特に、著書、岡本正善著「「強い心」を作る技術」(講談社+α新書:2008年1月)は、子供に関するメンタルトレーニングに関して記述され、更には、親子でのメンタルトレーニングを実践しているため、個人的に気になっていたので。

詳細は、別の投稿記事でご紹介するとして、この書籍の中で、メンタルトレーニングに関する「メンタル」に関する明確な定義がありましたのでご紹介しましょう。

「メンタル」と一口にいっても、この言葉の意味はじつに多様です。使う人によって、「心」「精神」「頭脳」等々、いろいろな解釈がされることがあります。どれも間違いではありませんが、メンタルトレーニングにおいては、メンタルとは「心と体を繋ぐ働きをするもの」というとらえ方をします。(中略)人間の「心」と「体」は密接に繋がっています。その心と体との間を往復し、影響を与えるもの、それが「メンタル」の働きだと私は思います。(中略)メンタルとは、ひとつには人間の「意識」の働き、というふうに考えることもできるでしょう。しかし、メンタルの働きの主たるものは、実は「意識」ではありません。(中略)体や、さらにはその人そのものを動かし、コントロールしているのは「潜在意識」です。(中略)潜在意識というのは、無意識とほぼ同じ意味と思っていただいてかまいませんが、この潜在意識をよりよく使えるようになることがメンタルトレーニングの要となります。(p.34 - 38)

これまで読了しているメンタルトレーニングに関する文献では、上記のような明確な定義がなかったように思いますが、本書は明確です。メンタルとは、心と体を繋ぐもので、メンタルトレーニングは、そのメンタルのうち「潜在意識」をよりよく使えるようにすること!

こうして定義されると明確に何を強化する必要があるのか、とても明確になります。単純に「心」を強化するのではないし、「体」を強化することでもありません。そうではなく、「心と体を繋ぐもの」を強化する・・・メンタルトレーニングというと、本部ログの投稿記事、「メンタルトレーニングとは!?」でも記述しましたが、単純に「心」を強化する、といった解釈が私を支配していましたが、上記のような定義は、これまでの「心」の強化としてのメンタルトレーニングでは、不明確な点が多かったメンタルトレーニングに関して、何やら一光が射したような気がしています。

勝者の発想!イチローと松井秀喜を参考に

イチローにみる「勝者の発想」―イチローと松井の比較心理学 (二見文庫)久し振りに心理学に関する本を読んでいますが、これまでに誰かの自叙伝的な内容は敬遠してきました。

理由は、人格や性格といったものは、人それぞれが違っていて、自叙伝は結局ただの参考であって、真似している間はそれ以上になれないから、ということでした。

そんな先入観があって、随分と以前に購入した児玉光雄著「イチローにみる「勝者の発想」―イチローと松井の比較心理学」(二見文庫:2006年4月)が眠っていたのですが、今更ようやく読み始めました。

これが意外と面白い!文面がとても読み易いということもありますが、単純に自叙伝をといった類の文庫ではなかった。勝手に先入観を持っていた自分を反省しつつ読み進めました。

基本は、スポーツ心理学ですが、その他にも「脳科学」に関する記述もあって、説得力があります。

これまでにちょっと記憶に留めておきたい内容をピックアップしましょう。

過去と未来は一見連続しているようで実はそうではない。現在の思考パターンを変えるだけで未来は一変するのだ。過去の延長で未来を決めつけてはいけない。(p.59)

どんなに調子が悪くても、勝利ということから遠ざかっていても、結局は思考パターンを変えるだけで未来は違う、と主張しているわけです。

自信は、自分を勇気づけるための心のエネルギーである。(中略)どれだけうまく自分を鼓舞するか、あるいはどれだけ努力してきた自分をほめてやれるか。そんな工夫で自信は着実に心の中で育っていく。(p.119)

所謂、プラス思考の重要性を説いているわけですが、途中途中でイチロー選手のコメントや松井選手のコメントが挿入されていて、解説を更に説得力あるものにしています。

心理学というよりは、もうちょっと寝転がって読むことが出来る内容ですので、野球ファンのみならず、万人にとって読み易いよう構成されていますよ。

NOTE:
本書の著者である児玉光雄氏は、御自身のホームページ「児玉光雄web」を主宰されていてます。児玉氏は、鹿屋体育大学アドミッションセンター長で、臨床スポーツ心理学と体育方法学が専門だそうです。

「右脳活性プログラムのトレーナーとしてこれまで多くの受験雑誌に右脳開発トレーニングを提供。自ら名付けた「右脳IQ」という概念を日本に広めるために尽力している」とのことです。

No.1 理論

No.1理論―「できる自分」「強気の自分」「幸せな自分」 (知的生きかた文庫)脳科学にのめりこんだ大きな要因は、林成之著「勝負脳の鍛え方」 (講談社現代新書:2006年10月)という新書に出会ったことでした。詳細は、本ブログの投稿記事である「とんでもない新書に出会った!勝負脳の鍛え方」にて記述しました。

その後、多くの新書や文庫を読みあさってきました。そして、偶然見つけた西田文郎著「No.1理論―「できる自分」「強気の自分」「幸せな自分」」(知的生きかた文庫:2006年11月)という文庫。早速、書店に立ち寄って購入。いっきに読了してしまいました!

この文庫の内容は、正に脳科学に基づいた「No.1 理論」で、究極のメンタルトレーニング、またはブレイントレーニングの方法が記述されています。文中、マインドコントロールである、と説明されていますが、どうやってポジティンブ思考にするか、ということになります。

「理想の自分」を実現するための「心のトレーニング」が「No.1 理論」である、と前書きにもありますが、以前読了した「勝負脳の鍛え方」と同様、衝撃的な内容でした。

「No.1 になりたい」と思っているうちは、まだまだネガティブで、こうした考えを「No.1 になれる」というところまで、感情・イメージ・思考の 3 点を変換することで、「理想の自分」を手に入れるという方法論です。

かなり具体的に、しかも事例や脳科学の視点からの根拠も記述されていますので、是非脳科学に興味がある方々には推薦できる 1 冊です。

短調の曲でモチベーションは上がるか!?

以前、2000 年のシドニーオリンピックで金メダルを獲得した女子マラソンの高橋尚子選手が、レース前に携帯オーディオを聴いていて、モチベーションを上げていたことは有名な話ですよね!

その時の曲は、歌手 Hitomi さんの「LOVE 2000」という曲だったことは有名です。聴いているだけで、自然と体が動いてしまうような軽やかな曲で、確かに集中力を高め、モチベーションを高めるにはうってつけのような曲でした。

高橋選手のこうした行動が注目されたのと同時に、携帯オーディオの選択肢も増え、沢山のアスリートが、最近では携帯オーディオを持ち歩いている光景が目立ってきました。

我次女も、テニスをしていますが、大会の前には必ず携帯オーディオを持参し、好きな曲を聴いています。最近では、その曲に合わせて、声に出して歌いだす!これはこれで良いとは思うのですが・・・ところが、つい最近まで聴いていた曲は;

レミオロメンの「粉雪」!!!

念のため、この歌を確認すると、なんとも淋しい曲で(といっても有名で流行った歌なのですが・・・)、全体は短調の曲の構成です!これまでは、大会前といえば、長調でとても明るい歌、弾むようなテンポの曲、歌詞がポジティンブな歌がピッタリ・・・といったことを考えていたのですが。

短調の歌や曲で、大事な試合前にモチベーションを上げることができるのでしょうか!?率直に解らない!脳科学や心理学では、「好きなこと」や「感動すること」によって、人間は脳が活性化して、素晴らしい結果を生むことがある、と説いてはいるのですが、好きだから短調の歌でもモチベーションが上がる、と判断して良いのでしょうか???

ところで、曲の短調と長調は、どうやら素人が判断するような「悲しい曲が短調」で「楽しそうな曲が長調」という判断は間違っている、とのことです。「短調の曲でモチベーションが上がるか」ではなくて、「淋しい曲でモチベーションは上がるか」のほうが正しいかもしれませんね。だいたい、Hitomi さんの「LOVE 2000」が長調かどうかは不明だし・・・

注意:
我妻は、ピアノの講師をやっていて、「粉雪は短調」ということは確認できましたが、「LOVE 2000」は私が再現できず、長調か短調かを確認できていません・・・

スランプからの脱出法

スポーツに限らず、ビジネスの世界でも「スランプ」はつきものですよね。「スランプ」とは、「以前できていたことが一時的に調子が落ちて、できななくなっている状態」とでも定義できるのでしょうか。

ただ、「スランプ」は、短期的なものばかりではなく、長期的なものもありますのから、時間軸で定義するにはちょっと無理があるとは思いますが。

ウェブページ、「大和部屋(やまとべや)::スポーツ選手のスランプ脱出法」によれば、以下のように記述されています。

スランプで悩んでいる選手は自分を知らない。スランプとは自分の心が起しているのである。それに気付かないからスランプを脱する事ができないのである。決して練習不足や能力の限界からスランプが起っているのではない。スランプに突入してしまった選手は、能力の限界なのだろうかと悩み不安になる。そしてやたらと練習をする。練習をしすぎて(特に試合前に)、体が疲れたままレース(個人的注釈:レースとは試合やビジネスでの本番)に出てしまう。「調子の良かったころはこうだった」と過去にとらわれ、その過去以上の練習さえつめば勝てると錯覚してしまう。練習やフォームなどは 2 次的なものでしかない。

「スランプ」に陥ると、上述のように、「以前できていたこと」にとらわれて、これまで以上に「何か」を実践しようと頑張ってしまう!良くあることですよね。更に以下のようにも記述されています。

強化練習中に調子が悪い分けではないのに、試合で結果が出せないというのがスランプである。レースで結果が出ない。すると練習量を増やす。本来十分な練習量以上の練習をする。疲れが異常なほどたまる。しかし、その疲れを調子が悪いと感じてしまう。調子が悪いので不安になりさらに練習してしまう。そして試合の直前まで練習中ある程度のタイムが出るまで練習してしまう。疲れがたまったままレースに挑む。こういう悪循環がスランプを産むのである。

さて、上記のような「スランプ」から脱出する方法があれば良いですよね!上記のウェブページは以下のように示されています。

試合前 1 週間には最低 1 日、完全休養日を入れなければならない。ダッシュ練習もあまりやってはいけない。試合前ダッシュは練習量が落ちていてつい全開でやってしまう。疲れも残るし、レース前に気持ちが爆発してしまい、試合まで気持ちが持たない。試合前にはどんなことをやってももう無駄だと開き直る大きな器が必要である。(中略)勇気を出して休もう。

また、長いスランプ期には一時引退するのも手である。長い選手生活で、練習が嫌々になっていては勝てない。ちなみに私は今、きつい練習も楽しい。現役時代には練習が、きついことが楽しいなんて想像出来なかった。苦しいけど楽しい。この境地に達するのはいったん引退するのが一番の近道である。

実践に基づく「スランプ脱出法」は説得力がありますね。ほとんどの記述は、どうやら水泳の経験から来ているものらしいのですが、他のスポーツやビジネスでもまったく同じことが言えますよね。

更にもう一つ。早稲田大学人間科学部の野村忍教授が、「ストップカード」というものを提唱しています。

名刺やテレ力あるいはパスネットカードにマジックで大きく「STOP!」と書いてポケットに入れておきます。そして、何か悩み事があったり、暗くなったり、考えが堂々めぐりを始めたら、「ストップカード」を取り出して3秒間じっと見つめて下さい。人前でなければ、「ストップ!」と声に出して下さい。そうすると、うそのように新鮮な気分になって、よい考えが浮んできます。

ちょっと信じがたいような方法ですが、このストップ法(思考中断法)は、もともと強迫神経症の治療として考案されたものでだそうで、どうやら科学的に立証されているようです。

上記で言う、「強迫」とは、自分でも不合理だという考えが次から次へと浮かんできて、それを自分でコントロールできないという症状のことだそうです。そんな時に、「ストップ」と叫んでみるとその一瞬にして不合理な考えから抜け出られるというものだそうで、ちょっと試してみようかな・・・

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